2016年5月6日
【プレスリリース】電気自動車と連携したスマートハウスの設計を容易に ~災害時の安定電力供給などにも応用が期待~
名古屋工業大学大学院工学研究科の青木睦准教授、平田晃正教授らのグループは、スマートハウス設計を容
易にするシミュレータ群を開発、安心・安全なスマートコミュニティの設計を低コストかつ容易に提供可能としま
した。
開発したシミュレータ群は、大容量のスマートハウスの電力融通を模擬可能な10kW 超級のハードウェアシミュ
レータ、日常さらには災害時のスマートハウスと外部電源(電気自動車など)との電力連携シミュレータ、電気
自動車への無線給電装置の安全評価シミュレータから構成され、電気自動車とスマートハウス、更にはスマート
コミュニティの一体設計を可能とするプラットフォームです。
スマートハウス間で効率よく電力を融通し合うことにより、電力損失の削減や災害時の電力供給が期待されて
いますが、その性能をより高く発揮するためには、電力系統設備との協調した運用が必要でした。複数の家を含
む電力系統とスマートハウスの相互作用を十分にテストすることが必要になりますが、従来、テスト用の家を製
作し、実際の電力系統につないで試験をするのには莫大なコストを要しました。今回、開発した10kW 超級のハ
ードウェアシミュレータを使用することで大幅なコストカットを実現。特に、災害時など多彩な状況を考慮に入れ
た、電気自動車など外部電源とスマートハウスを一体的に考える電力融通のシミュレーション設計も可能となり
ます。また、非接触給電システムなど模擬が難しい電気機器の評価ができるよう、これまでにほとんど前例のな
い10kW 級の実機も扱えるソフトウェア・ハードウェア混成シミュレータです。
さらに、災害時など電気自動車からの無線での大電力供給の拡張利用などを検討するための、無線充電中の
漏えい電磁界の安全性適合性評価のためのシミュレータも開発しました。本シミュレータは、世界に先駆けて総
務省が答申したワイヤレス給電の技術的要件(平成27 年)、現在策定中のISO、IEC 国際規格などにも貢献し
た実績もので、安全性を前提としたスマートコミュニティ設計をサポートします。
名古屋工業大学・鵜飼裕之学長は、「これら3 種類のシミュレータを連携させたプラットフォームを活用するこ
とより、仮想的に、さまざまな状況を想定したスマートハウスと電気自動車、さらにはスマートコミュニティなど
の設計ソリューションとし、社会ニーズに柔軟に対応した研究開発、社会実装に貢献していきたい」としています。